『なにもない空間』(ピーターブルック、訳:高橋康也、喜志哲雄)
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「なにも三流喜劇やまずいミュージカルだけが、木戸銭のただどりをしているわけではない。〈退廃演劇〉は致命的な足取りをもって、グランド・オペラや悲劇にも、モリエールの芝居にもブレヒトの芝居にも、忍び込む。(・・)かてて加えて始末のわるいのは、あのうんざりする退廃観客があとを経たぬということだ。つまり、どういう格別な理由があるのか知らぬが、緊迫感のない舞台、いや娯楽的でさえない舞台がまさにお気に召すといった、救いがたい手合いのことである。」